AzureBlueのりお様よりお勧めいただいてシリーズずっと読んでました。のでまとめて感想。読んでないと意味わからないくらいネタバレ。
あとストーリ的というより文章中心に読んでます。

読んだ順で行きます。ちなみに出版順です。『AGE/楽園の涯』までは返しちゃったので憶えてるぶんだけ。

『グラスハート』
一冊目。出会い。朱音ちゃん元気だなー。つうか先生のキャラが良すぎるよ。楽器店での坂本君のライブはすごく生々しい音が見える。この人の文だと音が聞こえるというより音の色が見える感じなのはなんでだろう……なぞと思いつつ、あとこれだっけか。ラストの静寂がすごい。演奏よりもそのあとの静寂感がうまいなあと感じる。

『薔薇とダイナマイト』
『ムーン・シャイン』
坂本君の一人称がこんなにも朱音と近いのになにか納得がいかない。しかし良い子だ。
あとこの辺までかなあ。桐哉にまじめにムキに相手してあげる朱音はアホウよな。

『嵐が丘』
『いくつかの太陽』
うっ、朱音がキモチワルイ。女として生々しいとキモチワルイと感じるのはいつものことなのでしょうがない。でもちょっとキャラ変わってきたなあとは思う。

『AGE/楽園の涯』
なんだこの人普通の一人称も書くんだな、なぞと。
尚の一人称が一番力が入ってて良いなと思う。好きだ。

(このタイミングで『黒い仏』なんぞ読むから色々吹っ飛ぶ)

『冒険者たち』
ヒビキと源司さんは良いんだが朱音の書き方忘れたんじゃないか?と思いながら読む。わざとと言うよりは取り戻そうとしてうまくいってない感じがするのですが。ツアーの話は丸々要らなかったんじゃないかと思うほどなんかうまくいってない。ヒビキはかわいい。

『熱の城』
やっぱり朱音の一人称忘れてたでしょう、と思いながら読む。一応取り戻したものの着地点がズレたのか、作者の思考法がズレたのか。少しキャラ変わってる。てゆかここで先生がコクる意味がわからん。無理展開じゃね? でも怒るヒビキかわいい。
しかしなん度見ても『熱沙奇巌城』に空目する私は病気。

『LOVE WAY』
佐伯さんのキャラに某編集氏を思う。いや違うか。
しかし本当になにがあったってくらい密度が違う。「LOVE WAY」書いたのは97年だと? 『嵐が丘』の出た年だと? キャラによって感性まで変わりすぎじゃないか? 尚一人称にも感じたが。
「LOVE WAY[II]」のライブの描写、やっぱり音楽というよりその消えた瞬間の静寂がうま過ぎる。ああそれまで一杯だったんだ、と急に気付かされる感じ。フライングブラボーなんて絶対できないあの感じがある。するやつはするんだけどね、アレはむかつく(余談
「アンダー・エデン」は恐ろしく中二で良いですね。こるものさんみたい。

『イデアマスター』
最終刊。先生一人称きた。ぶっ壊れてるなあ。坂本君は随分素直になったものだ。朱音口調はどうやら取り戻して恐ろしく昇華された「小説」の体裁になっていて、ぼんやりと思っていたことを確信する。『冒険者たち』の朱音パートは完全に「詩」だった。
なんか一番ギリギリのところを生きてたのは先生のようでいて実は高岡だったんじゃないかという気がするよね。生きてたと言うか生きてくのか。天才じゃない凡人の好きだからやめられないギター屋さんは今日も戦う。みたいな。


通して読んでてふっと思ったこと。朱音一人称のせいで朱音のドラムの良さが伝わらない。みんなが「褒めるから」「大事にするから」天才性があるのは理解できるが、ほかの人に比べたら音は全然伝わらない。途中から急に悟った感じになるのが妙なのもそのせいかも知れない。まあ私がドラム疎いってのもあるけどね。ドラム意識して聴いたのなんてアート・ブレイキーくらいですしね。あ、いや大坂昌彦は生で聞いたけど、あんまり好きじゃなかったなあ。うん好きじゃないのはわかるけどすごい度合いはわからないくらいの疎さです。しかもどっちもジャズ。
だからというかイメージできたのは拳で殴ったサスペンダーくらいです。あれ、サスペンダーっていわない? 合ってる?

あ、そーだ前半なんですが朱音が安易に「死ぬ」っていうのがなんか嫌でしたね。「こんな音死ぬ」って感じの(若干違うような気もする)。まあわかりやすいんですがもうちょっとなんか言葉あるだろうと思う。「死ぬ」って。それこそ死なねえよ、って言いたくなった。死なねえよ。
後半そう言う安易さは消えたのは文体が変わったのと同じくブラッシュアップされたってことなのでしょうか。てなんでこんな偉そうなんだ自分。

『イデアマスター』へ至ってどうもこの文章は誰かに印象が似ていると思って終始気になってしょうがなかったのですが結局誰だかわかっていません。一瞬舞城かなと思ったけどちょっと違うか。でも最近読んでないからどうだろう。あるいは白倉由美さん……ん??

あとなんで知ることになったかってtwitter経由か、で知ったのですが若木未生ってワセミス出身なんですね。へんなとこでびっくり。どんなの読むんだろう、とちょっと興味深い。

ところで最近良く昔どっかのサイトで見た「トムトムとタムタムを間違えた」話を思い出して小説に書きたくなるけど元ネタがある話だから書けないよダメダメとか思っている。
ショス五の「タムタム(ドラ)」を「トムトム(タム)」と間違えたという、恐ろしい話。
恐ろしい……笑


最後に。集英社はちゃんと初出をつけてくれ。これが一番思ったことだったりして。
posted by 蟻郷 伶 at 07:36 | Comment(2) | TrackBack(0) | 読書感想
この記事へのコメント
グラハ感想読んだ!観点が面白いぜ…!
私は小学生の頃からグラハを読み返しまくっているので、逆に気づけない部分が色々あるんだなあなど。
『グラスハート』>ラストの静寂同意!自分の耳に満ちていた音がふっとなくなる静けさ、寂しさみたいなものが凄いとずっと思っている。
『薔薇と〜』『ムーン・シャイン』>朱音ちゃんと坂本くんの一人称、れーたん的には近かった?私のなかでは結構イメージ違うので、興味深い!(^^)
『嵐が丘』『いくつかの太陽』>朱音ちゃんはどんどん女になっていくよね。確かに生々しい女が駄目だと駄目なのかも。
『AGE』『楽園のはて』>デビュー頃のだから、大学生くらいかと思うとすげえなと思ってしまう…。土岐さんの創作論が私の創作論の基にあって、私は他人とくにプロの創作の姿勢に土岐くん並の試行錯誤を求めてしまう傾向がありますw尚の一人称はわりと最近も書かれていて(新装版やおまけ冊子の書き下ろし)、どんどんすれてとんがってでもかっこよくなっていくですよ。バンドではお兄さん的存在として描かれているようだけど、藤谷さんとコンビまたは尚さんピンになるととたんにロックで殺伐としたギター屋さんになる。
『冒険者たち』>朱音ちゃんの一人称についての指摘が面白い。ちょっと今度読み返してみるわ! ゲンジさんはえらい好きです。こういう人の一人称をほとんど読んだことがなかったから新鮮だった。ヒビキちゃんは新装版おまけ冊子の短編がえらい可愛さですよ
『熱の城』>坂本くんに幸せになって欲しくて、藤谷先生自重wwと突っ込んでしまう回(←)あの告白については、藤谷さんの思考回路の飛びっぷりで納得するしかないんじゃw初読のとき一瞬藤谷さんが何言ってるのかわからなかったです(笑)え、好きだったの!?みたいな。
でも何度も読んでいたらそれでいいような気になるから不思議である。 『LOVE WAY』この1冊、とくに有栖川シン一人称が私のひとつの神様。センスがすごすぎると思っている。ストレートな言葉を避けて何重ものオブラートをかけながら、本質をずばりというよりも輪郭を浮かび上がらせるみたいに描いている、イメージ。シンさんのねじの取れ方が受験で病んでいた当時の私にはえらいリアルだったせいで美化されている部分もあるかも。
『イデアマスター』>藤谷さん一人称くるとは思ってなかったのでびっくりした。あと坂本くんの可愛さに転がった。坂本ヒロイン、朱音ちゃんヒーロー、それでいいです(こら)それよりトーヤが随分丸くなってるのが(笑)『冒険者たち』の朱音の一人称パートが詩であるというものすごく面白い話。そこ踏まえて読み返したい。高岡は高岡一人称とか ピンでいるときの高岡についての文章を読むとわかるがれーたんの指摘はすごく正しいと思う。大変そうです。でもそんなアイツが格好良くて好き。「朱音一人称のせいで朱音のドラムの良さが伝わらない」てのも同意。というか一人称の主についての情報をどう読者に伝えるかって 難しいよね…グラハがどうというより今自分が悩んでいる事柄w
若木さんがグラハを書き出したのが二十代前半で、書き上げるまでにたぶん十年以上経っているから、文章はどんどん洗練されていると思う。並行連載の他作品をみてもそれは思う。
並べる言葉の選び方がね、わりとストレートな初期→ちょっと単語が難しくなる中期→平易な言葉で、だけど迂遠に、行間や比喩にたくさんの含みがあってユニークな最近、なのかなと勝手に思っている。
ハイスクールオーラバスターというシリーズがたぶん一番長寿なんだけど、これを読んでいったりするとほんと一目瞭然。途中から文章が神化する。それまでの表現も好きなのだが。青くて痛くて。ちなみにこちらは三人称。
個人的に若木さんに近いかもと思うのは川上弘美さん、夢枕獏さんの文章かな。
若木さんとミステリ>他シリーズなんかも読んでみて、アシモフとホームズは押さえてるんじゃないかと予想している。

まとまりないうえ鬼のよーに長いコメントでごめん!とりあえず思いついたことを並べてみた…(笑)
とにかく読んでくれて、そして面白い感想をありがとうでした!^^
Posted by りお at 2010年09月04日 21:06
コメントありがとうでした!><
べたべたっとリプ。

>朱音ちゃんと坂本くんの一人称、れーたん的には近かった?
いま手許にないのでアレだけれども「ムーン・シャイン」の書き出しの辺りなんだかすごく近く感じて朱音のせりふにしては内容は朱音っぽくないよなーという感じでちょっと変に思った。ああ坂本か、とわかってからは普通に読めたんだけど。思考は坂本なんだけど口調が似てる感じがしたけど、読み直すとそうでもないのかも。

>土岐さんの創作論が私の創作論の基にあって、私は他人とくにプロの創作の姿勢に土岐くん並の試行錯誤を求めてしまう傾向がありますw
それは厳しいw でも半端だったらやらなくて良いじゃんてのはむしろアマチュアに感じる私。やらなくて良いじゃんというか、一人とか身内で遊んでればいいでしょ、と。
プロは稼げるやり方が必要だよなーとか思ってしまうところはある。小説だったら出版社がそれを求める部分もあるし。だから出版社の売り方とかには文句は言いたくなる。

>尚の一人称はわりと最近も書かれていて(新装版やおまけ冊子の書き下ろし)
おおー、しかしおまけ冊子というと……買わないと手に入らない、系? 尚のキャラは好きですよー。

>朱音ちゃんの一人称についての指摘が面白い。ちょっと今度読み返してみるわ!
いやーまあものすごく感覚的な意見です。「詩」、ということについても。突き詰めると「詩」の定義の話になっちゃうし笑 でもやっぱり断絶はあるかな、って思う。

>ゲンジさんはえらい好きです。こういう人の一人称をほとんど読んだことがなかったから新鮮だった。
源司さん善い人だー。ああいう系の一人称キャラ、って確かに思い浮かばないかも。建築探偵の深春がそうっちゃそうかなーとか。ぐらい。ヒビキも好きだ!

>あの告白については、藤谷さんの思考回路の飛びっぷりで納得するしかないんじゃw
確かに…w

>ストレートな言葉を避けて何重ものオブラートをかけながら、本質をずばりというよりも輪郭を浮かび上がらせるみたいに描いている、イメージ。
こういう犯人書きたいw←
あるいは探偵でも良いwww
ものすごく危ない人だけどたぶんすごく純粋な人だよね有栖川。ストレートな言葉を避けて、というよりも語彙の範囲がズレてる人なのかなとか思った。右を差すのがつまり正面のことを言ってる、で統一されてる。ああこれはもしやつまり「倒錯的」ということか。だからむしろ言葉自体の用法としてはドストレートなのかな、とか。

>藤谷さん一人称くるとは思ってなかったのでびっくりした。
えっ、ダレ読みにくい人きた!って感じだった笑 しかし先生は思ったことそのまんま並べていく感じで小説として書くのはきっと大変だったろうなーと思う。

>坂本ヒロイン、朱音ちゃんヒーロー、それでいいです(こら)
まさに。
>それよりトーヤが随分丸くなってるのが(笑)
まさに(2)。

>高岡は高岡一人称とか ピンでいるときの高岡についての文章を読むとわかるが…
いやあほんと、きつそうな生き方してるよね。でもそれが病みつきなんだろうなあ。ちょっと危ない笑

>一人称の主についての情報をどう読者に伝えるかって 難しいよね…
本当に難しいと思う。だから歩海は一人称じゃないんですよ笑(ってわけでもないけど。まさか「僕は美少年です」とは言わせられんw)ちょっと詳しいことを書こうと思うと自分語りをさせなきゃいけなくなるからとても面倒だよね。見ていない部分のことは書けないし。ちなみに私の一人称キャラ代表樋口和広という男はよく自分語りをするよ。
あとはもうほかのキャラにセリフで言わせるしかないけどヘタにやると読めたもんじゃなくなるものねえ。難しい。

>川上弘美さん、夢枕獏さんの文章かな。
ああーなるほど。どの人にしてもやっぱり感情そのものがうまく言葉に隠れて配置されているみたいな感じだなあ。うまく言えないんだけれど。

>アシモフとホームズは押さえてるんじゃないかと予想している。
ワセミスってかなり上下の繋がりあるし山口雅也とかどうなんだろーとか勘繰ってしまう私。

こんなぐだぐだな感想で面白がっていただけてなによりです。
そういえば書き忘れたのだけど『グラスハート』と私の音楽観は近いようでいてスレスレ違う部分があるなと思っていたんだよねえ。それはたぶん「クラシック」読んでもらえてればなんとなくわかるかなとも思うのだけれど。
結局集約するのは「プロ」と「アマ」の違いってことなのかも知れないけれど。あともちろんジャンルの違いもあるだろうけど。
その辺はまあ、真面目に小説に書かなきゃいけないことなんで書きますが(^^;
一応リプ書いたけど会ったら語りそうだね笑
Posted by ありさと at 2010年09月05日 20:15
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